赤黄色のバウムクーヘン

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アルバム紹介『TEENAGER』フジファブリック 前編

アルバム紹介『TEENAGER』フジファブリック 前編

TEENAGER

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このアルバムは、フジファブリックといえばのあの曲や、奇想天外なあの曲など、バラエティーに富んだ一枚である。

このバンドを語る上で確実に外せない。

志村正彦さん(以下志村さん)の書く歌詞の特徴だと思う「時間の経過」を色濃く感じることができる。

そんなアルバムを自分なりに記してみたいと思う。

 


1.ペダル

綺麗でどこか儚いアコースティックのアルペジオの音色で幕が上がる。

「ボーッ」という音のハウリング?で曲に奥行きを感じるのも特徴。

徐々に足されていくエレキギターの音などで華やかさもある。

 

「あの角を曲がっても消えないでよ」とは、時間の経過による忘却のことなのか、

それとも何かを追いかけているのだろうか。

 

「そういえばいつか語ってくれた話の 続きはこの間 人から聞いてしまったよ」

日常で聴きそうなフレーズだが、この曲の展開から考えるに切ない。

そんな気がする。

 


2.記念写真

なんとも不思議な、それでいてフジファブリックっぽいと形容できる音色から始まる。

作曲は現ギターボーカルであり、この時はリードギターであった山内総一郎さん。

 

明るめの曲調だが、歌詞の内容は儚い。エモいとも言えるかもしれない。

別れを題材としているが、サビの「忘れられたなら その時はまた会える」という表現にとても惹かれた。

 

ただ単に友達との別れだったなら、また再会すればいいと思う。再会したいと思えるならば。

きっと、何かもう会えない理由がある2人なのだろう。

関係性が完全にリセットされて、初対面に戻ることができるのならば…。

 

1番では小さな野球少年だったのが、2番では大きくなっており、ここでも時間の経過を感じることができる。

 

時間が経過した時に、大きくなった野球少年は何を感じるのだろうか。

 

写真の中に映る「染められた君」を見たのなら、何を思うだろうか。

 

感情の跡が残る写真を見て、どのように感情は動くのだろうか。

 


3.B.O.I.P.

この曲も「記念写真」同様、山内さん作曲である。

 

なんの意味を表しているタイトルなんだ?と思うが、

意味はどうやら『Battle Of Inokashira Park』の略ということらしい。

 

井の頭公園のスワンボートでレースする様を、男女の恋模様のデッドヒートと掛けているのだろうか。なんともノリノリな曲である。

 

一度完全に終わったと思わせて、その後また巻き返してくるのが面白い。

 


4.若者のすべて

今やフジファブリックといえば『若者のすべて』だろう。知名度が断トツ。

夏の名曲として何度も耳にすることができる。

 

そして今や高校生の音楽の教科書に載っているとか。なんと幸せなことだろうか。

www.kyogei.co.jp

 

「すっげぇー良い曲で、大好きで、だからこそ悔しくもあった」。

(引用:フジファブリックの赤富士通信R 号外)

と、あのMr.Children桜井和寿さんに言わしめた名曲。

 

自分の大好きな『赤黄色の金木犀』同様、

過去に別れた誰かに対し、もし会えた時のために言葉を伝える心の準備をしている。

 

時間の経過により忘れてしまうという表現が見られる曲もあるが、

この曲では、花火を見ると「何年経っても思い出してしまう」といっている。

 

大きくなるにつれて、細かな描写、出来事は色褪せていくかもしれないが、

全てを忘れるわけではない。特に印象的な出来事は。忘れるわけがない。

 

この曲でも曲中の人物が成長していることが表現されているが、その表し方が

「世界の約束を知って それなりになって」

である。この一文に色々と詰まっているように感じ、胸をギュッと掴まれる。

 

時間の経過については、街頭の明かりが点くという表現でもわかる。

表現がいくつあったんだ、志村さんは。

 

なんとも形容し難い、大人になりきれない若者の焦燥感や息苦しさを、哀愁すら感じさせるメロディーが包んでいく。いくつ歳を重ねても何か考え、感じさせてくれる。

 

色褪せるわけがない、名曲。

 


5.Chocolate Panic

アメリカのバンド『Jellyfish』のメンバーだったRoger Joseph Manning Jr.氏と志村さんの共作。どのような繋がりがあったのだろうか。

 

そしてこの曲自体、なんとも摩訶不思議な世界観。

どのようにしてこの歌詞が出来上がったのか知りたいけど、知りたくない気もする。

凄いテンション高いときに作ったのだろうか。

サビで擬音を多用するのが志村さんらしさを感じる。

 


6.Strawberry Shortcakes

5曲目の『Chocolate Panic』とは違った路線の不思議曲である。

キーボードの音色が要所でとても効いていると感じた。

 

歌詞を見ながら聴くと、君を見ている描写が面白いことに気がついた。

曲中の二人は対面して会っていると勝手に思い込んでいたが、左利きであることに違和感を感じる状態ということは、窓越しに横並びに座っている状態を見ているということなのかもしれない。

言葉遊びにブログを書きながら気がついて感服した。

 

「もひとつ僕のイチゴを食べてよ」という表現に、

『唇のソレ』でも見られたようなフェティシズムなものを感じた。

 

いや、それは曲解しすぎなのかも?イチゴが好きな貴方に食べて欲しいという気持ちかもしれない。

 

皇居を見下ろせるホテルっていくつか浮かぶな。

 

 


終わりに

他のアルバム紹介同様に、文字数が多くなり過ぎてしまうため、一区切りを入れたいと思う。

 

若者のすべて』を書き表すのに数時間要したが、なんて難しい。

聴いたことがない方がもしいらっしゃったら、是非聴いてみてほしい。

もしかすると、忘れられない一曲になるかもしれない。

 

追伸

全然関係ないですが、何となくこれまで書いた記事のURLを変えてしまったところ、いただいた全てのイイねが消えてしまいました。

申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 

 

light-miscellaneous-notes.hatenadiary.com

 

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