アルバム紹介『TEENAGER』フジファブリック 後編
アルバム紹介『TEENAGER』フジファブリック 後編
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今回は7曲目から書き記そうと思う。アルバム前半6曲については↑から。
7.Suffer King
8枚目のシングルであるこの曲。
東京スカパラダイスオーケストラのスカパラホーンズが参加している。
管楽器の音色が間奏でとても良い味を出している。
曲全体を通して言葉遊びがおもしろい。
ただ、一番驚いたのは「波」と「彼」で漢字の並びで表しているところ。
「サーファー」という言葉から「彼」と繋がるのは何故?と歌詞を眺めていると
何故?という疑問が浮かび、そして一つ気がついた。
「波」とは曲中一度も言っていないが、「サーファー」と言ったら「波」が連想されるよなと。
恐らく志村正彦さん狙っているよなあ。凄い。
『若者のすべて』とは別ベクトルの夏曲で
頭を空っぽにしてテンション上げたい時に聞きたい、ノリノリな一曲!
ライブでもとても盛り上がる。
8.ロマネ
『ロマネ』ってなんだ?と調べてみると、「ロマネ・コンティ(ブルゴーニュワイン)」が作られている葡萄畑がある村を指しているらしい。
ワインについて詳しくなくても「ロマネ・コンティ」は知っている。今後も飲む機会があるかは何ともいえないレベルのお酒であるが。
『Queen』を連想させる曲だなと思うが、歌詞の中でも言及されている。
さりげない、遠回しなラブソングだと聴いていて思う。そのさりげなさが心地良い。
時折、志村さんの本音のような感情が垣間見えるのもいい。
間奏のギターソロは志村さんが弾いているとのこと。このギターの音が好きなんだよなあ。
9.パッション・フルーツ
9枚目のシングルであるこの1曲。
初めて聴いた時のことを今でもよく覚えている。
「この曲、シングルで販売されたの?ぶっ飛んでるバンドだな」と。
それがどういう意味かは言及しないでおく。恐らく多くのリスナーが一度は考えたはず。
ちなみにライブで演奏されると「お、きた!」とテンションが上がってしまう。
曲全体を通して聞こえる、ギターのカッティングの音が耳に気持ちよく残る。
キーボードの音色がどこぞの民族音楽感を醸し出している。
サビ前のドラムの音が「それ!それ!」とハマっていると思う。
「パッションフルーツ」は魅惑のフルーツという意味と「passion(情熱)」を掛けているのだろうか。歌詞が官能的。
10.東京炎上(Album Mix)
7枚目のシングル『青い鳥』のカップリング曲のアレンジ版。
題名からぶっ飛んでいる一曲。歌詞の意味も非常に難しい。
志村さんってストーカーをするのが得意だって、テレビで尾行術を披露していたことがあったし、街中で誰か追いかけたことがあるのかな。
追いかけてられている相手は魅惑的な感じを醸し出している。
そして追いかけている相手はテンションが上がっていると。
開幕の静けさから、一気に展開が変わり加速する。
力強いドラムにキーボードの音が雰囲気形成に色濃く反映されている。
11.まばたき
先の『東京炎上』から雰囲気がガラッと変わり、心を落ち着けてくれる一曲。
この時リードギターで、現ギターボーカルの山内総一郎さん作曲。
曲調が穏やかな中、歌詞の内容は間接的で意味深。
「瞬きを3回してる間に 大人になる」
この表現の解釈がとても難しい。全くわからない。
時間の経過としては早過ぎるため、比喩的表現なのだろうが、何を表しているのか。
大人になるのはあっという間だよという意味なのだろうか。
それとも初体験のことを指してる…?
これは意図違いだとしたら、作詞者に大変失礼なため、書くのにも大変勇気がいるが書いてしまう。
歌詞を何度も読み、志村さんの他の曲での表現を考えると、無きにしもあらずなような。
ほら、瞬き3回する時間さえあれば、そういう意味での大人になれそうだし。
「わがままな僕らは期待を」という歌詞からも、自分はどうも連想してしまう。
大真面目に書いているのが自分でも恐ろしい。
まあ多分、大人になるのは直ぐだよっていう意味だったのだろう。大人になることに妙に期待をしている青少年たちなんだろうか。
難しい文学だ。
12.星降る夜になったら
非常に好きな一曲!
キーボードの金澤ダイスケさんがメインで作り、志村さんが一部助言により改編して誕生した。
非常にドラマー泣かせな曲。昔、軽音サークルにてコピバンをやった時に、ドラムを担ってくれた後輩が「腕がパンパンになってキツいです」と言っていたのが印象的。
この曲は疾走感があり、外を駆け出したくなる。
個人的にELLEGARDENの『スターフィッシュ』とメッセージが似ているように感じる。
この曲からは特に青春を感じる。
イントロから要所で聞こえるギターのワウの音が、これから何か変わるかも、
何か起こるかもという期待を増幅させているように聞こえる。
間奏のキーボードのソロが物語が展開していることを予感させる。
ベースの加藤慎一さんのプレイも燻し銀で、全体を支えている。
ライブでは全員でコーラスをするのもまた良い。ライブでまた聴きたい。
13.TEENAGER
最後の曲でタイトルトラックが流れ出す。
軽快な曲調でこのアルバムは終わりへと加速していく。
10代の頃にこの曲を聴いた時にも親和性があったが、今30代に入ったこのタイミングで聴いても親和性があるなと思う。
自身が成長していないとしたら悲し過ぎるが、そうではないとしたら、本質的な部分は変わっていないのだろう。
大人になり、色々と経験したり、社会に揉まれていくと、守らなくてはいけないものも増えてきたように感じるが、
どこか無邪気に、突き抜けていく精神というものは忘れたくはない。
幾つになっても人の心ってものは読めないものだし、わからないのかもしれない。
経験から読み解いて推測することはできるだろうが。
曲途中のハンドクラップや、歌詞の合間で、ノリノリな志村さんの姿が目に浮かぶ。
終わりに
どのアルバムでもそうだが、このアルバムでも改めて曲を聴きながら文章を書くことによって、新しい発見があった。
もう10年以上聴いている曲たちなのに。
自分の読解力がないのは百も承知だが、それだけではきっとなく、
曲の奥行きがとてもあり、聞くたびに見方が変わる。
それは恐らく自身の経験が齢を重ねるごとに積み上がっていき、それによって曲の色も変わって見える。
この『TEENAGER』もとても魅力的な一枚である。
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